アイキューブドシステムズ
レポート更新:2026/02/27所在地
福岡市中央区天神4-1-37 4-1-37 Tenjin, Chuo-ku, Fukuoka City(https://www.i3-systems.com/)
事業内容
法人向けモバイルデバイス管理(MDM)を中核とするSaaS企業。タブレット、スマートフォン、PC、業務専用端末を対象に、初期設定、状態監視、利用ルール適用、情報漏洩対策、セキュリティ設定、端末利用の可視化などを一元管理する「CLOMO MDM」を提供し、導入企業は約8,600社に達する。加えて、ブラウザ、メール、カレンダー、アドレス帳、ファイル共有を備えたセキュア業務アプリ群「CLOMO SECURED APPs」も展開。販売は主に代理店経由で、特に NTTドコモ との協業が中心で、同社「あんしんマネージャーNEXT」へOEM提供している。2024年のTOBを経て2025年に東京ProMarket上場の ワンビ(5622)を子会社化し、セキュリティ領域の強化を進めている。 A SaaS company centered on mobile device management (MDM) for enterprises. It provides “CLOMO MDM,” a unified management solution for tablets, smartphones, PCs, and dedicated business devices, covering initial setup, status monitoring, policy enforcement, data leakage prevention, security configuration, and device usage visualization. The service has been adopted by approximately 8,600 corporate customers. In addition, the company offers “CLOMO SECURED APPs,” a suite of secure business applications including a browser, email, calendar, address book, and file sharing. Sales are conducted primarily through channel partners, with a particular focus on collaboration with NTTドコモ, to which it provides OEM services for “Anshin Manager NEXT.” Following a TOB in 2024, the company acquired ワンビ (5622), listed on the Tokyo Pro Market, as a subsidiary in 2025, thereby accelerating the strengthening of its security business domain.
主な予定日
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目次
要約
株式会社アイキューブドシステムズは、法人向けモバイルデバイス管理(MDM)サービスを中心に事業を展開するSaaS企業であり、主力製品「CLOMO MDM」を通じて企業のスマートフォンやタブレットなどの端末を一元管理し、セキュリティ対策や運用効率の向上を実現している。顧客のニーズに応じた柔軟なカスタマーサポート体制を整え、NTTドコモやソラニワとのパートナーシップを活用して高い信頼性を維持している。2024年6月期には連結売上高2,949百万円を達成し、前年同期比で10.7%の成長を記録した。特にCLOMO事業の拡大が要因であり、導入法人数は6,710社に達し、顧客基盤の拡充が進んでいる。営業利益は692百万円で、前年同期比11.9%の増加を見せたが、売上原価の上昇には注意が必要である。アイキューブドシステムズは、MDM市場において14年連続で市場シェア1位を確保しており、特に高いセキュリティ基準に適合した製品を提供することで競争優位性を維持している。今後の成長戦略としては、医療機関や官公庁市場へのアプローチを強化し、CLOMO事業の機能拡充や新規顧客の獲得施策が焦点となる。中期経営計画では、連結売上高を38億円から50億円に成長させることを目指し、年率30%の成長を予定している。さらに、M&A戦略を通じて開発リソースを強化し、国際展開を進めることで持続的な成長を図る方針である。投資家にとっては、安定した配当政策や自社株買いを通じた株主還元が魅力的であり、財務基盤の健全性を背景に持続的な成長が期待される。業績変動要因や業界固有のリスク、海外展開リスクなども考慮しつつ、アイキューブドシステムズは今後も顧客ニーズに応じたサービスを迅速に提供し続けることで、さらなる成長を遂げることが期待される。
1. 2024年6月期累計の業績概要
アイキューブドシステムズは、2024年6月期において連結売上高2,949百万円を達成し、前年同期比で10.7%の成長を記録した。この成長は、主力事業であるCLOMO(モバイルデバイス管理)事業の拡大によるものであり、導入法人数は6,710社に達し、前年同期比で36.1%の増加を示している。営業利益は692百万円、前年同期比で11.9%の増加を見せ、営業利益率は23.5%を維持しているが、売上原価の上昇には注意が必要である。売上原価は761百万円に達し、前年の613百万円から147百万円(24.1%)の増加があった。この増加は、開発投資やM&Aに起因するもので、短期的には利益率に対するプレッシャーとなる可能性がある。経常利益は668百万円、当期純利益は559百万円に達し、いずれも前年同期比で成長を達成している。総資産は3,399百万円、自己資本比率は69.3%と安定した金融基盤を維持しており、流動資産は2,646百万円で流動比率も良好である。営業キャッシュフローは1,022百万円に達し、フリーキャッシュフローも安定している。ROEは15.7%に達し、財務的な効率性を示している。アイキューブドシステムズは、今後もCLOMO事業の拡大や新規事業の創出を通じて持続的な成長を目指し、顧客満足度の向上や競争力の維持に努める必要がある。特に、医療機関や官公庁市場へのアプローチを強化することが競争力の鍵となる。投資家にとっては、CLOMO事業の成長性とリスク管理が重要な観点となる。
2. 2024年6月期の業績見通し
2024年6月期の業績見通しは、連結売上高が2,949百万円、営業利益が692百万円、経常利益が668百万円、当期純利益が559百万円と、前年同期比での成長を見込んでいる。特に、CLOMO事業の拡大が主な成長因子であり、導入法人数は6,710社に達し、前年同期比で36.1%の増加を示している。この成長は、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)やリモートワークの普及に伴うモバイルデバイス管理の需要増加によるものである。今後もCLOMO MDMの機能強化や新規顧客の獲得施策が重要な戦略として位置付けられ、特に医療機関や官公庁市場へのアプローチが競争力の鍵となる。営業利益率は23.5%で安定した水準を保っているが、売上原価の上昇には注意が必要であり、開発投資やM&Aに起因するコスト増加が短期的な利益率に影響を与える可能性がある。さらに、営業キャッシュフローは安定した増加を示し、新規プロジェクトのための投資資金を確保できる好循環が構築されている。アイキューブドシステムズは、顧客基盤の拡大や新サービスの投入を通じて持続的成長を実現することが期待されており、投資家にとっても魅力的な成長ストーリーが形成される見込みである。
3. 中長期の成長戦略
アイキューブドシステムズは、2026年6月期を目標とする中期経営計画において、CLOMO事業の拡大を通じた持続的成長を追求している。具体的には、連結売上高を38億円から50億円に引き上げることを目指し、年率30%の成長を計画している。この成長を実現するために、顧客基盤の拡大や新規事業の創出が重要な施策として位置付けられている。特に、NTTドコモグループへのOEM提供を活用し、顧客数の増加を図る方針である。また、運用支援サービスや高度なセキュリティ機能の拡充を通じて、ARPU(1ユーザーあたりの平均収益)の向上を目指す。さらに、M&A戦略としてベトナムの10KN COMPANY LIMITEDを子会社化し、開発リソースの強化を図ることで、国内外の人材を活用し、プロジェクト推進のスピード感を高めることが期待されている。新規事業創出においては、社内のアイデアを具現化する専任部署を設置し、幅広い市場にアプローチを進めることで、持続的な成長を促進する。CLOMO事業では、医療機関や教育機関など特定業界に特化したサービスを提供し、新たなニーズに応えることで収益多様化を図る。ARPU向上の施策としては、オプションサービスの拡充や顧客ニーズへの的確な対応が求められ、顧客満足度を高めることが重要である。リスクマネジメントにおいては、急速に変化するIT市場やサイバーセキュリティの脅威に対し、継続的なリスクの見直しと対策を行う必要がある。アイキューブドシステムズは、これらの多角的なアプローチを通じて成長を続け、MDM市場におけるリーダーシップを維持していくことが期待される。
・2024年6月期においてアイキューブドシステムズは連結売上高2,949百万円を達成し、主力のCLOMO事業の成長により前年同期比で10.7%の成長を記録し、営業利益も11.9%増加したが、売上原価の上昇には注意が必要で、今後は医療機関や官公庁市場へのアプローチ強化が競争力の鍵となる。
・2024年6月期はCLOMO事業の拡大により連結売上高2,949百万円、営業利益692百万円を見込んでおり、特に医療機関や官公庁市場へのアプローチが競争力の鍵となる
・アイキューブドシステムズは、2026年6月期を目標にCLOMO事業の拡大を通じて連結売上高を38億円から50億円に引き上げることを目指し、顧客基盤の拡大や新規事業の創出、M&A戦略を通じて持続的成長を追求している
事業概要
1. ビジネスモデルの概要
株式会社アイキューブドシステムズは、法人向けモバイルデバイス管理(MDM)サービスを中心に事業を展開するSaaS企業である。主力製品「CLOMO MDM」は、企業が所有するスマートフォン、タブレット、モバイルPCなどの多様な端末を一元管理し、セキュリティ対策や運用効率の向上を実現するための総合的なソリューションを提供している。このサービスは、遠隔監視、データ消去、利用ルールの適用など、多岐にわたる機能をもつため、企業のIT部門の負担を軽減し、業務の効率化を図る。
アイキューブドシステムズのビジネスモデルの特徴は、顧客の利用状況やニーズに応じて柔軟に対応できるカスタマーサポート体制にある。特に、自社開発のソフトウェアに加え、NTTドコモやソラニワとのパートナーシップを通じて、顧客に対して強力なサポート網を構築している。これにより、導入から運用後のサポートに至るまで、顧客志向のサービスを提供し高い信頼を維持している。
さらに、アイキューブドシステムズは月額課金型のサブスクリプションモデルを採用しており、顧客が継続的に利用することで安定した収益を確保できる。特に、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展とリモートワークの普及が相まって、CLOMO MDMへの需要が高まっていることが、今後の成長を強く示唆している。
2. 主な事業セグメント
アイキューブドシステムズは、事業を大きく「CLOMO事業」と「投資事業」の2つに分けている。CLOMO事業は主力であり、モバイルデバイス管理サービス「CLOMO MDM」が中心で、法人向けに特化した多様なサービスを提供している。
CLOMO MDMでは、企業が保有するモバイル端末の一元管理を実現するため、無駄な作業を軽減するための各種機能を備えている。これにより、企業の情報セキュリティを向上させ、社員が個々に効率よく業務を果たすことが可能となる。近年では、特に医療機関や官公庁市場への展開を強化している。この市場セグメントでは、セキュリティ要件が非常に高く、これに適応したサービス提供が求められるため、CLOMO事業の強みを最大限に生かすことができる。
一方、投資事業はアイキューブドベンチャーズを通じたスタートアップ企業への投資活動を行っており、CLOMO事業とのシナジーを図っている。在庫やノウハウを持つ企業への投資により、新たな事業や市場への進出が期待され、投資先の成長が自社の成長に寄与する構造を確立している。このように、CLOMO事業と投資事業は互いに補完的な役割を果たすことで、全体の成長戦略を支えている。
3. 同社の市場ポジションと競争優位性
アイキューブドシステムズは、MDM市場において確固たる地位を築いており、14年連続で市場シェア1位を確保している。特に、CLOMO MDMは「Android Enterprise Recommended」の認定を受けており、顧客からの信頼性は非常に高い。これにより、新規顧客の獲得や、リピーターの増加に寄与している。
競争優位性の最も大きな要因は、高いセキュリティ基準に適合した製品を提供することである。特に、ISMAP登録を受けたことは官公庁などの高いセキュリティ要求のある顧客に対して、信頼性の高い選択肢を提供する大きなアドバンテージとなっている。このような背景から、同社は市場競争の激化する中でも耐えうる競争力を有している。
また、顧客対応の幅広さや迅速なフィードバックの実現も、同社の競争優位性を支える要因である。開発チームは顧客の要求に応え、柔軟性をもって製品改良や新機能の追加を行っている。このことが、他の競合製品との差別化要因となり、長期的な顧客満足度向上に寄与している。これらの要因が相まって、アイキューブドシステムズは市場内でのポジションを確固たるものにしている。
4. 市場の背景
MDM市場は急速に成長しており、特に最近のリモートワークの普及やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展が大きな要因となっている。市場調査によれば、2024年にはMDM市場が187億円、2028年には280億円に達する見込みで、企業におけるモバイルデバイスの管理ニーズが高まることが予想されている。
特に、情報漏洩やサイバー攻撃の頻発が企業のセキュリティ意識を高めているため、MDMサービスへの需要は増加する見込みだ。これに伴い、アイキューブドシステムズが提供するCLOMO MDMの需要も引き続き拡大するだろう。
さらに、官公庁のデジタル化が進む中で、CLOMOのセメントニーズが高まることが期待される。政府機関や特定業界においても、セキュリティ基準が厳しくなっているため、CLOMO MDMはその要件を満たす製品として強力なポジションを占める。
このような市場背景を踏まえ、アイキューブドシステムズは新たなビジネスチャンスを捉えつつ、顧客満足度の向上、競争力の維持に努める必要がある。今後の成長戦略としては、CLOMO MDMの機能拡充や新規顧客の獲得施策が焦点となり、持続的成長を実現すると期待される。
5. 今後の展望
今後アイキューブドシステムズが注力すべきポイントは、新規事業領域への進出やCLOMO事業の拡大である。特に、医療機関や官公庁市場に対するアプローチを強化することが競争力の鍵となる。これにより、さらなる売上増加と市場シェアを獲得する機会を得るだろう。
また、技術革新と新たな製品展開も重要であり、顧客ニーズの変化に即した機能追加やサービスの充実が求められる。さらに、カスタマーサポート部門の強化とともに、開発能力の向上にも注力することで、顧客満足度を高め、安定した収益を確保することが期待される。
最後に、投資事業のさらなる発展も重要であり、新たな市場機会を見極めた戦略的な投資が求められる。アイキューブドシステムズは、こうした多角的なアプローチを通じて成長を続け、MDM市場におけるリーダーシップを維持していくことが期待される。
アイキューブドシステムズは、これまでの実績を基盤に、今後も顧客のニーズに応じたサービスを迅速に提供し続けることで、さらなる成長を遂げるだろう。
業績動向
1. 直近の業績概要
アイキューブドシステムズ(ICubed Systems Inc.)は、2024年6月期において連結売上高2,949百万円を達成し、前年同期比で10.7%の成長を記録した。この成長の要因は、CLOMO(モバイルデバイス管理)事業の拡大によるものである。具体的には、導入法人数が6,710社に達し、これが前年同期比で36.1%の増加を示しており、顧客基盤の拡充が武器となっている。
アイキューブドシステムズは過去3年間、一貫して業績の堅調な成長を示してきた。2021年に2,029百万円、2022年に2,454百万円、2023年に2,665百万円と、毎年の安定した売上増加を背景に、法人向けモバイル端末管理サービスに対する需要が高まっている。一方で、これらの成長を維持するためには、新たな投資や戦略の見直しが求められる。
専門家の見解として、CLOMO事業の成功が今後も続く限り、アイキューブドシステムズの成長軌道は安定すると予想されている。特に、NTTドコモとのOEM契約により、さらなる顧客拡大が期待される。投資家視点で注目すべきは、将来的な成長性とリスク管理であり、特にCLOMO事業のさらなる発展が其の鍵となる。
2. 損益計算書の分析
2024年6月期の損益計算書を分析すると、営業利益は692百万円となり、前年同期比で11.9%の増加を見せた。営業利益率も23.5%で安定した水準を保っているが、売上原価の上昇には注意が必要である。売上原価は761百万円に達し、前年の613百万円から147百万円(24.1%)の増加があった。この増加は、開発投資やM&Aに起因するもので、将来的な成長を見越した投資であるが、短期的には利益率に対するプレッシャーとなる可能性がある。
売上総利益は2,187百万円に達し、前年同期比で6.6%の増加を示した。この成長は、CLOMO事業の拡張に寄与していることが大きい。しかし、販売費及び一般管理費も1,495百万円に上昇し、前年同期比で4.4%の増加が見られた。コストの管理は今後の企業価値向上のためには不可欠であり、特に利益率の維持に向けての努力が求められる。
経常利益は668百万円を記録し、前年同期比9.6%の成長を達成、当期純利益も559百万円に達した。この成長は、新たに取得した子会社による影響を含むものであり、さらなる成長が見込まれている。投資家視点では、これらの指標の推移を事業戦略と連動させた上で、今後の維持可能性を検討する必要がある。
3. 貸借対照表の分析
2024年6月期の貸借対照表から得られる情報では、総資産は3,399百万円と前年から増加を示し、特に自己資本比率は69.3%と安定した金融基盤を維持している。流動資産は2,646百万円で、現預金が大部分を占めており、流動比率も良好で短期の支払い能力が高いことを示している。
一方、売上債権の増加が見られるが、これが現金フローに影響を与える可能性もあるため、注視が必要である。固定資産は754百万円で、主に無形資産や投資有価証券が増加している。これも、M&Aによる成長戦略の一環であり、今後の投資効果を見極める必要がある。
負債については826百万円とされており、有利子負債は発生していない点が強みであるが、一部の取引先への依存度が高まっていることから、多様化は急務とされる。固定資産の運用効率の見直しや、資金調達の方法を模索することが、今後の財務健全性維持において重要になる。
4. キャッシュフロー計算書の分析
2024年6月期のキャッシュフロー計算書では、営業キャッシュフローが安定した増加を示している。営業キャッシュフローが1,022百万円に達し、新規プロジェクトのための投資資金が獲得できる好循環が構築されている。フリーキャッシュフローも安定しており、将来的な成長に向けた資金運用の面でも柔軟性が確保されている。
特に、投資キャッシュフローについて、M&Aによる資源の拡充が注目される。X社やY社との連携を通じて新たな成長が見込まれており、これが長期的な収益の確保に寄与すると考えられる。また、営業活動から得られたキャッシュフローの強固さは、アイキューブドシステムズの安定した運営を支えている。
投資家は、キャッシュフローの状況から今後の成長ポテンシャルを把握することが求められ、特に将来的な投資分野の拡充について慎重に分析を行うことが重要となる。
5. 業績指標の分析
全体の業績指標を見ると、ROE(自己資本利益率)が急成長を遂げており、2024年のROEは15.7%に達した。この数字は、財務的な効率性を示し、株主に対しても期待感を持たせる範囲と言える。ROA(総資産利益率)も良好で、資産の効率を示す指標が改善していることは好材料である。
EBITDA(税引前利益・利息支払い・減価償却費等の合計)も1,009百万円に達し、成長トレンドが続く。アイキューブドシステムズは、これらの業績指標を用いて経営戦略をさらに進める意向を示しており、持続可能な利益構造の確保が重要になる。
これらの指標は、今後の戦略と綿密に結びついており、投資家はこれを通じて企業がどのように市場の変化に対応していくのか、注視する必要がある。
アイキューブドシステムズは、法人向けモバイルデバイス管理市場における強力な地位を築いており、成長の可能性が高まっている。しかし、利益率の維持やコスト管理、業績指標の整合性を確保することが今後の課題となる。顧客基盤の拡大や新サービスの投入により、さらなる成長が期待されるため、今後の展開に注目するべきである。
中期経営計画と成長戦略
1. 中期経営計画の全体像
アイキューブドシステムズは、2026年6月期を目標とする中期経営計画において、持続的な成長を追求することを明確にしています。この計画の中心にあるのは、CLOMO事業の拡大を通じた連結売上高の増加であり、具体的には38億円から50億円への成長を目指し、年率30%の成長を予定しています。中期経営計画においては、顧客基盤の拡大と新規事業の創出が重要な施策として位置付けられています。
この過程で、CLOMO事業は特に注目されており、NTTドコモグループへのOEM提供を活用して顧客数を増加させる方針です。また、運用支援サービスや高度なセキュリティ機能の拡充を通じて、ARPU(1ユーザーあたりの平均収益)の向上を目指しています。これに合わせて、柔軟な戦略の見直しを行い、経営環境の変化に適応することも計画されています。
これらの施策を通じて、アイキューブドシステムズは持続的な成長の基盤を構築し、競争力の強化を図ることで企業価値を向上させる考えです。投資家にとって、明確な成長目標と施策から、同社の成長潜在性を容易に評価することが可能となる。
2. 投資計画と設備・研究開発の強化
アイキューブドシステムズは、中期経営計画に基づく投資計画を策定し、特に設備投資と研究開発を重点施策として位置付けています。開発リソースの強化に際しては、M&A戦略として2024年にベトナムの10KN COMPANY LIMITEDを子会社化し、システムエンジニア不足の解消を図ります。この戦略により、国内のみならず国際的な人材リソースを活用することが期待され、スピード感を持ったプロジェクト推進が可能となります。
具体的には、データセンターの増強やクラウド基盤の強化を行い、CLOMO MDMのサービス提供をより安定的に行える環境を整備します。また、既存サービスの品質向上に向けた研究開発も重要視され、新機能やセキュリティ強化のバージョンアップを行います。これらの投資は、顧客満足度を高め、ひいては企業の収益向上に寄与するでしょう。
さらに、社内教育プログラムを通じてエンジニアのスキル向上を図る計画もあり、これによって開発効率の向上が促進される見込みです。投資を通じた成長の基盤強化は、企業が競争優位性を持続するために不可欠であり、投資家にとっても中長期的な収益性の確保に寄与すると考えられる。
3. 新規事業創出と事業別成長戦略
アイキューブドシステムズの新規事業創出戦略は、CLOMO事業の延長線上にある革新的な取り組みが中心です。特に新たに設置された専任部署により社内からのアイデアを具現化し、幅広い市場にアプローチを進めています。このように社内のリソースを最大限に活用する姿勢は、企業の持続的な成長を促進します。
CLOMO事業については、NTTドコモグループとのOEM供給による顧客基盤の拡大が期待されています。医療機関や教育機関など特定業界に特化したサービスを提供することで、新たなニーズに応え、収益多様化を図ることができます。特に医療分野へのアプローチは、電子カルテなどの導入が進む中で高まるペースでのニーズに寄与するものと考えられます。
さらに、投資事業としてCVCファンドを通じてスタートアップへの投資を進め、新しい理念や技術へのアクセスを持つことでイノベーションを促進することも目指しています。このような取り組みは、自社の成長とともに多様なビジネスチャンスの獲得へ繋がり、競争力の維持に寄与することが期待されます。
4. ARPU向上の施策と顧客対応
ARPU(Average Revenue Per User)の向上は、アイキューブドシステムズにとって持続的な成長を示す重要な指標です。そのため、オプションサービスの拡充や顧客ニーズへの的確な対応を行うことが求められます。具体的には、CLOMO MDMサービスの機能強化やサポート体制の拡充を通じて、顧客満足度を高める施策を進めることが計画されています。
ユーザーの期待を上回るサービス提供を通じて、顧客からの信頼を獲得し、リピーターを増やすことが重要です。また、社内でのユーザーとの対話を強化し、顧客の声を反映したサービス改善や新機能の開発に活かすことで、顧客からのロイヤリティを高めていく狙いです。これにより、顧客の定着率も向上し、結果的にARPUの増加を図ることができると考えます。
このように、ARPU向上を目指す施策は、短期的な売上増に留まらず、長期的な市場シェア拡大と企業価値向上に結びつく重要な要素となります。これが実現されることで、投資家にとっても魅力的な成長ストーリーが生まれると言える。
5. リスクマネジメントと市場環境への適応
アイキューブドシステムズは、経営環境の変化に柔軟に対応する体制を整えることを重視しています。特に、急速に変化するIT市場やサイバーセキュリティの脅威に対して、継続的なリスクの見直しと対策を行う必要があります。競合他社との差別化や顧客ニーズの変動に迅速に対応することで、持続的な成長を確保します。
また、特定業界への特化型アプローチを推進する中で、パートナーシップの強化や顧客との関係構築を進めています。これにより、顧客からの信頼を高め、長期的なリレーションシップを築くことが可能となります。このようなアプローチは、企業の市場適応能力を高め、競争環境における優位性を強化するための不可欠な戦略です。
リスクマネジメントの強化は、投資家にとっても信頼できる情報提供となり、経営戦略の柔軟性を示す要素として重要です。企業としての持続可能な成長を実現するためには、このような姿势を保つことが求められます。
アイキューブドシステムズの中期経営計画と成長戦略は、明確なビジョンに基づいた戦略的な施策によって支えられており、持続的な成長を追求する基盤が整っています。各施策の推進を通じて、投資家に対する信頼性も高まり、企業の競争力向上に寄与することが期待されています。今後の動向に注目されるべきである。
ニュース・トピックス
1. CLOMO事業の顧客基盤拡大と成長
アイキューブドシステムズは、2024年6月期に法人向けモバイル端末管理サービス「CLOMO」の顧客基盤を大きく拡大し、導入法人数は1,781社に達した。この成長は特に顕著であり、前年比で10.7%の売上高増(2,949百万円)につながっている。営業利益も692百万円に達し、前年同期比で11.9%の成功を収めた。この動きは、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中で、CLOMOの重要性が高まっていることを示す。
さらに、専門家はこの成長を、モバイルデバイス管理に対する需要の高まりとして捉えている。企業がデジタル化とセキュリティ対策に投資する中、CLOMOはそのニーズに応えるソリューションとして人気を集めている。投資家にとっては、V字回復を見せるCLOMO事業への注目が集まり、短期的な成長はもちろん、中長期的な戦略として極めて有望な案件であることが示唆されている。
2. Googleとのパートナーシップ強化
アイキューブドシステムズは、Google社が提供する「Android Enterprise Partner Program」においてGold Partnerに認定された。この認定は、CLOMOサービスの品質向上や顧客サポートの強化につながる重要な要素であり、CLOMO MDMの信頼性を高める効果がある。COLOMサービスは「Android Enterprise Recommended」の認証も取得しており、これにより企業は安心してCLOMOを採用できるようになった。
専門家によると、このパートナーシップは競争優位を確立するための重要な戦略として機能している。特に、業務を支えるモバイルデバイスの管理において、高評価を得ることが今後の顧客獲得につながり、新たな市場開拓が期待されている。投資家には、CLOMO事業がますます成熟する中、この強固なパートナーシップが長期的に利益をもたらす可能性が高いと考えられる。
3. セキュリティ機能拡充のための新サービス
アイキューブドシステムズは、CLOMOサービスのARPU(顧客一人当たりの収益)向上を目指して、新たなオプションサービスを提供することを発表した。Check Point社と協力し、新たに追加された「Harmony Mobile」やTeamViewer社の「TeamViewer Remote」は特に優れたセキュリティ機能を備えており、顧客の業務効率化と安全性向上に寄与することが期待されている。サイバー攻撃が増加する社会において、このようなサービスは特に重要である。
専門家は、こうした新しいセキュリティ対応策が市場での競争力を高めるだけでなく、顧客がCLOMOに対しての満足度や信頼を高める要因となるとしている。投資家から見ると、これによりCLOMOの市場における地位が一層強化されるだけでなく、顧客からの安定収入が見込まれることが、今後の成長を互いに結び付ける重要な戦略であることがわかる。
4. 人材確保のためのM&A戦略
日本国内でのエンジニア不足が深刻化する中、アイキューブドシステムズはベトナムに拠点を持つ10KN COMPANY LIMITEDを子会社化し、開発力を強化した。このM&Aにより、高度な開発スキルを持つエンジニアを確保することで、中長期的な開発リソースを拡充することが可能となる。また、この取り組みは当社の事業拡大に向けての重要な手段であり、技術力の向上が図られる。
専門家は、M&Aを通じた人材確保が、未来の競争力を左右する重要な投資であるとしている。特に、開発関連のリソースを増やすことで、顧客ニーズに迅速かつ効果的に対応できる体制を整えることが見込まれている。このような戦略は、投資家にも安心感を与え、企業としての持続可能な成長への基盤を築く要因となる。
5. ISMAPクラウドサービスリストへの登録
アイキューブドシステムズのCLOMOはISMAP(情報システムセキュリティ管理評価制度)クラウドサービスリストに登録された。この登録により、CLOMOの信用性と安全性が向上し、特に官公庁などの顧客へのアプローチが容易になった。ISMAPへの登録は、政府が求めるセキュリティ基準を満たしている証であり、これにより官公庁市場への信頼性が増加することが期待されている。
専門家は、このような登録が顧客獲得や新たな市場展開を後押しする要因になり、企業の成長に寄与するだろうと予測している。投資家にとっては、CLOMOが信頼性を強化し、新しい顧客を開拓することで収益増加に繋がる可能性が高い点から注目すべきポイントである。
6. 社内環境の整備と人材育成
アイキューブドシステムズは、従業員の多様性を尊重し、充実した社内環境の整備にも力を入れている。リモートワークやフルフレックスタイム制の導入は、働きやすさを向上させ、従業員の満足度を高める手段となっている。特に、これにより大幅な生産性向上が見込まれている。また、従業員の成長を支援する研修やOJTプログラムの強化が行われていることで、職場の雰囲気や企業文化の向上に寄与している。
専門家は、このような取り組みが企業全体の成長を促進していると評価し、労働環境の改善は競争優位性を強化する要因となると考えている。投資家にとっても、人材が育つ環境や多様性を重視した社風は、企業の未来を担う重要な指標であり、業績向上に繋がる可能性を秘めている。
各セクションでは、アイキューブドシステムズの現在の状況や新たな取り組みを明示しながら、今後の戦略や投資家にとっての意義を論じてきた。市場の変化に敏感に対応し、それに応じた施策を展開することが、今後の持続的な成長に寄与することが期待される。今後もこの成長を支える要素が一層強化され、多くの投資家からの関心が集まることが予想される。
会社概要
1. 基本情報(会社概要、所在地など)
株式会社アイキューブドシステムズは、福岡県福岡市に本社を構える法人向けモバイルデバイス管理サービスの専門企業である。2001年9月に創業し、以降、法人向けのスマートフォン、タブレット、PCなどのモバイル端末の一元管理に特化したサービスを展開してきた。主なサービスとしては、モバイルデバイス管理(MDM)サービス「CLOMO MDM」があり、これにより企業の情報セキュリティ課題への対応を実現している。
同社は全国規模で営業拠点を展開しており、福岡を中心に、北海道から関西エリアにかけて札幌、仙台、名古屋、大阪、広島などにもオフィスを構えることで、多様な顧客にサービスを提供している。資本金は413,018,600円と安定した基盤を持ち、代表者は佐々木勉氏である。企業は成長を続けるSaaS市場への注力を続けており、2022年度には東京証券取引所グロース市場への移行を果たしている。アイキューブドシステムズは、企業のニーズに応じた柔軟なサービス提供を行い、顧客との信頼関係を重視している点が強みである。
2. 沿革と重要なマイルストーン
アイキューブドシステムズの歴史は、創業から現在に至るまでの多くの重要なマイルストーンに彩られている。2001年に創業されたこの企業は、個人事業からスタートし、2004年には法人化を果たした。設立からわずか数年を経て事業拡大に着手し、2010年には東京都港区に東京オフィスを開設、これにより大都市圏への進出が進んだ。
その後の成長は目覚ましく、2011年には自社開発のMDMサービス「CLOMO MDM」の提供を開始した。2016年には、このサービスがGoogle EMM製品に認定され、業界内での法的な信頼性を確立した。また、2019年には「Android Enterprise Recommended」を取得し、ブランド価値を高めた。そして2020年には東京証券取引所マザーズ市場に上場し、2022年度にはグロース市場に移行したことで、さらなる成長への資金調達の道が開かれた。今後は2024年にベトナムへ新たな子会社を設立、2025年には既存企業を子会社化予定であり、積極的な国際展開と新市場開拓が期待されている。
3. 組織体制と主要な経営陣
株式会社アイキューブドシステムズは、明確な組織体制と専門的な経営陣を擁し、効率的な経営を実現している。代表取締役社長の佐々木勉氏は、IT業界出身であり、豊富な技術的背景を持つリーダーである。佐々木氏が描く企業ビジョンに基づいて、経営戦略が策定されている。具体的には、技術革新と市場のニーズを踏まえた製品開発が行われており、特にMDMやセキュリティ関連のサービスに強みを発揮している。
役員陣は、それぞれの専門分野において高い専門性を持ち、経営戦略の策定や新規事業開発において重要な役割を果たしている。特に、ダイバーシティの推進や人材育成にも力を入れており、全社員の成長を促進する方針を打ち出している。このように、明確な組織体制と強力な経営陣によってアイキューブドシステムズは継続的な成長を支えていることが伺える。
4. 事業内容と市場ポジショニング
アイキューブドシステムズの主な事業は、CLOMO事業である。この事業では、法人向けにモバイルデバイスの管理および業務アプリケーションの提供を行い、多くの企業にとってIT業務の効率化とセキュリティの向上を実現する。特に、SaaS形式で提供される「CLOMO MDM」や「CLOMO SECURED APPs」は、顧客のニーズに柔軟に対応するよう設計されている。
企業が直面するセキュリティリスクの増大に対するソリューションを提供することで、新たな市場での優位性を築いている。さらに、AppleやAndroidデバイスの管理に強みを持つパートナーシップは、競争力の強化に寄与しており、特にデジタル化が進む現代において、そのニーズはますます高まっている。投資事業もサポートし、テクノロジー関連スタートアップなどへの出資を通じてさらなる成長を目指している。
5. 地理的展開と国際戦略
アイキューブドシステムズは、国内外に営業拠点を広げることで、利便性の高いサービス提供を行っている。福岡を拠点にしながら、北海道や東北、関西などにも多数の営業所を設け、多様な顧客ニーズに応えている。新たな市場への進出を狙いとして、2024年にはベトナムに子会社を設立予定であり、これにより国際的な事業展開を一層強化していく方針である。
地域に根ざしたサービス戦略を採ることにより、顧客との関係強化を図っている同社のアプローチは、今後の国際展開においても効果を発揮する可能性が高い。国内市場が成熟する中、アジアにおけるIT需要の急増は、アイキューブドシステムズにとって新たな成長の機会を提供することになるだろう。
6. 組織文化と人材育成
アイキューブドシステムズは、多様な人材を尊重し、成長を促進する組織文化を形成している。全社員の成長を支える施策として、特にダイバーシティやインクルージョンに力を入れ、あらゆる背景を持つ社員の意見を尊重し合う環境を整えている。これにより、企業文化は多面的になり、問題解決に対する多様な視点が寄与することになる。
人材育成においても積極的な取り組みが見られ、新しい技術への研修や研修制度の充実が図られている。中堅社員や若手技術者への権限委譲が進むことで、イノベーションの土壌が育まれ、企業は持続的に成長する基盤を築いている。こうした点からも、アイキューブドシステムズは良好な職場環境を維持し、成功へとつなげる努力を重ねていることが伺える。
7. ESGおよびサステナビリティへの取り組み
アイキューブドシステムズは、ESG(環境、社会、ガバナンス)およびサステナビリティへの対応が企業成長にとって重要な要素であると認識している。企業の社会的責任を果たしながら、環境保護や持続可能性を重視した事業運営を進めている。具体的には、クリーンエネルギーの利用や、循環型社会に寄与する製品の提供が推奨されている。
また、社会貢献活動や地域貢献にも取り組んでおり、地域社会との関係構築を重視している。これにより、企業のイメージを高めるだけでなく、社会全体に対する責任を果たすことができる。今後も、サステナビリティに関するポリシーを明確にし、企業価値の向上へつなげていく戦略が期待される。
アイキューブドシステムズは、企業が成長するために不可欠な要素を一つ一つ丁寧に構築している。各部門が連携して強固な基盤を形成し、社会的な課題への対応を通じてさらなる発展を遂げることが期待される。企業の成長に向けた方策はさまざまであり、今後の展開にぜひ注目したい。
株主還元
1. 配当方針と履歴
アイキューブドシステムズは、株主への還元を経営戦略の柱として位置づけており、持続可能な成長に向けた取り組みの一環として、年間配当の安定した実施を重視している。具体的には、2026年6月期から新たに中間配当制度を導入し、年間配当は1株あたり34円を計画している。これは同社が安定した収益を上げ続け、株主に確実に利益を配分する姿勢が反映されたものである。
過去数年にわたって配当は増加傾向にあり、2022年6月期には32円の配当金を設定した。2024年6月期も同様の配当額を維持する計画で、配当性向は30%前後を推移している。このように、企業の利益成長に対して株主還元を適切に配分することを目指しており、安定した配当の維持が株主の期待に応える形となり、株主との信頼関係を高めている。
また、同社の自己資本比率が71.2%という高水準を維持することからも、財務基盤の安定感が伺える。この高い自己資本比率は、変動する市場環境に耐え、安定して配当を支払う能力を関連づける要因でもあり、株主たちに安心感を与えることにつながる。アイキューブドシステムズはこの安定した配当政策を継続し、さらなる成長投資を進めつつ、株主の期待にこたえていく方針である。
2. 自社株買いとその影響
アイキューブドシステムズは、自社株買いを通じて株主還元を強化している。自社株買いは、特に発行済み株式数を減少させることで一株当たりの利益(EPS)の向上を期待でき、その結果として株主価値を高める手段として位置づけられる。同社は2025年に220,000株、404百万円の資金を使って自己株を取得することを決定しており、これにより株式の希少性が増し、株価を支える効果が見込まれる。
自社株買いの実施は、企業が自社の成長を確信しているシグナルとも解釈され、市場においてもポジティブな印象を与えることができる。この施策は、短期的な株価安定化に寄与すると同時に、長期的にも企業価値の向上を目指すことにつながる。また、資本の効率的な使用を図る中で、成長戦略に必要な現金資源も確保する効果が期待される。
アイキューブドシステムズが今後も自社株買いを続けていく中で、株主とのコミュニケーションが重要な要素となるだろう。透明性の高い資本政策を維持し、株主の信頼を獲得していくことで、持続的な成長の可能性が高まり、投資家にとっても安心できる投資先としての地位を確立していくと考えられる。
3. 総還元性向とその意義
株主還元政策の一環として、アイキューブドシステムズは総還元性向を意識した戦略を展開している。2025年6月期においては、配当金と自己株買いを合わせた総還元性向を30%と見込んでおり、この数値は企業の利益を株主に還元する意志を示す重要な指標である。この総還元性向は、企業の持続的成長を図りながら、株主への利益配分をしっかりと行っていることを示すものであり、投資家にとっての評価以前に、企業の成長力とも関わっている。
配当金と自社株買いを通じた還元の両輪が機能することで、株主は安定的なキャッシュフローを受け取る一方、自社株買いによって株式の希少性が高まり、結果として長期的な利益が期待できる。このように、両者の戦略が融合することで、企業の認知度や市場価値が高まり、株主にとって一層魅力的な存在へと成長する。
また、総還元性向の高さは、企業の信頼性や安定感を示す要素となり、今後の成長に向けた期待を後押しする。投資家としても、上述の背景を理解しつつ、企業の成長性や持続可能性を評価することが肝要であろう。
4. 財務の健全性と株主還元
アイキューブドシステムズの財務が健全であることは、株主還元を実行する上での大前提である。自己資本比率が71.2%と、高い水準を維持していることは、厳しい市場環境でも安定した運営が可能であることを示している。この高い自己資本比率は、企業が負債に頼らずとも成長戦略を推進できることを意味し、株主に対してもしっかりとした利益還元を行うための基盤を提供している。
良好な財務状態は、株主への信頼感を高めるだけでなく、万が一の経済危機に対しても抵抗力を持つ企業を作り上げる。過去の業績から得られたキャッシュフローを適切に活用することで、安定した配当を支払う能力が向上し、安心して株主に還元できる環境を築くことができる。また、強固な財務基盤は、新規投資の実施や成長を狙った戦略的な経営にも寄与する。
投資家にとっては、企業の財務の健全性を踏まえて株主還元の動向を評価することが大切である。アイキューブドシステムズは、今後も財務基盤を強化しつつ、株主還元の方針を維持することで、企業全体の価値向上を図っていく姿勢と評価できる。
5. 投資家へのコミュニケーション姿勢
アイキューブドシステムズは、投資家とのコミュニケーションを適切に行うことで、株主還元に対する信頼を高める努力を続けている。企業が株主へ自らの成長戦略や配当方針を定期的に開示し、透明性を確保することは、投資家との信頼関係を築く上で欠かせない要素である。特に、自社株買いや配当の決定に関する情報は、株主にとって重要な指標となり、その企業の成長意欲を反映したものとも受け取られる。
また、時折行われる株主総会やIR説明会において、当社の経営陣が直接株主に説明を行う姿勢は、投資家との距離を縮め、企業への信頼感を向上させる効果が期待される。経営情報や成長戦略の開示が、未来の株主還元に対する期待を高め、企業の全体像を理解する手助けとなる。
そのため、アイキューブドシステムズは、株主に向けてしっかりとリターンを還元する姿勢を表明し、オープンなコミュニケーションを心掛けることで、投資家にとって魅力的な企業となることを目指している。これによって、価格と価値が合致する長期的な関係構築を目指すことにつながる。
アイキューブドシステムズの株主還元政策は、安定的な配当支出と自社株買いを通じて、無駄なく資本を活用するとともに、企業の持続的成長を図ることに焦点を当てている。本章では、配当方針、自社株買い、総還元性向、財務の安定性、投資家コミュニケーション姿勢など、株主還元の重要な要素を詳細に分析した。全体として、アイキューブドシステムズの取り組みは、投資家に対する信頼の醸成につながり、今後の持続的成長が期待される環境を整えている。
アイキューブドシステムズの株主還元政策は、その企業の成長戦略と深く関連しており、今後も株主への還元と企業価値向上の両立を図っていくことが求められる。持続可能な成長と信頼を頼りにしつつ、株主還元への真摯な姿勢を一層強化することで、企業全体の信頼度を高め、魅力的な投資先としての地位を確立していくことが期待される。今後の展開に引き続き注目が集まるだろう。
事業リスク
1. 業績変動要因
アイキューブドシステムズの業績は主にCLOMO事業に依存しており、その収益は市場環境や顧客のIT投資意向、競合の動向に左右される。特にサブスクリプションモデルに基づくCLOMO MDMサービスは、法人向けにモバイルデバイス管理を提供しており、顧客ニーズの変化に迅速に適応する必要がある。業績の約47.6%が特定の販売パートナーからの収入によるため、これらのパートナーとの関係が経営に直結することは明白である。特定パートナーの方針変更や技術的問題が発生した場合、急激な売上減少のリスクが存在する。
加えて、市場において新規参入者や競争の激化に注意が必要である。特に、価格競争が発生して利益率を圧迫する可能性が高く、顧客解約リスクも看過できない。顧客満足度の低下が解約を引き起こし、収益に直接的な影響をもたらすため、顧客関係の維持が不可欠である。経済の景気変動も影響を与え、不況時には企業のIT投資が抑制されるため、不安定な業績を背景に、柔軟な戦略の構築が強く求められる。
投資家にとっては、これらの業績変動要因を常に監視し、将来の機会を捉えるためのリスク管理を強化する姿勢が必要である。また、商品やサービスの改善を図ることで、顧客価値を向上させる努力が重要となる。
2. 業界固有のリスク
情報通信業界に属するアイキューブドシステムズは、高速な技術革新と変動する市場環境に直面している。この業界の固有リスクは、特にセキュリティと競争環境に関連している。近年、サイバー攻撃の手法は進化しており、情報漏洩のリスクが常に存在する。顧客データを保持する企業にとって、信頼性の維持は不可欠であり、セキュリティインシデントが発生すると、顧客信頼を大きく損なう恐れがある。万が一、顧客情報の漏洩が発生すれば、法的責任を問われることも多く、企業の持続的な存続にも影響が出かねない。
さらに、技術の進化が求められる中で、常に新しいトレンドやニーズに対応することが経営課題となる。製品やサービスのライフサイクルが短くなる中で、競合他社との差別化が不可欠であるが、これに失敗すれば短期間内に市場シェアを喪失する可能性が高まる。また、規制の厳格化も重要なリスク要因であり、法令遵守にかかるコストが経営を圧迫する要因となり得る。
このため、業界固有のリスクに対する適切な戦略が求められ、競争優位性を保つためには、継続的なイノベーションと顧客ニーズの的確な理解が不可欠である。投資家はこれらのリスクを踏まえて、企業の対策や株主価値をどう維持しているかを評価することが必須である。
3. 財務・経営上のリスク
アイキューブドシステムズの財務状況はその経営戦略に左右される。特に、CLOMO事業の収益の約47.6%が特定の販売パートナーからのものであり、依存度の高さは企業の経営リスクを引き起こす要因となる。もしパートナーが取引を断った場合や方針を変更した場合、企業全体の業績に急激な悪影響を及ぼすことは明白である。そのため、取引先の多様化を図ることが重要で、顧客基盤の拡大を目指す姿勢が求められる。
また、運営コストの課題も無視できない。開発投資や人件費の膨張が営業利益に圧迫をかけ、多くの企業が利益率を低下させる要因となり得る。資本コストの圧迫や資金調達の不都合が生じた場合、投資判断や事業運営に支障をきたす恐れがある。したがって、経営資源の最適配分と無駄の排除が急務である。
さらに、コーポレートガバナンスの強化に注力することも求められ、内部統制の不備は法令違反を引き起こし社会的信頼を損なうリスクを助長する。透明性の高いガバナンス体制を確立し、適切なリスク管理を行うことが持続的成長と株主価値の向上に寄与する。
4. 海外展開リスク
アイキューブドシステムズは海外市場への展開も視野に入れており、それに伴うリスクも多岐にわたる。海外展開は新しい市場機会を提供する一方、国ごとの法規制、文化的・経済的環境の違いが意思決定に影響を及ぼす。特に新興国市場では、信頼性の高いインフラが未整備である場合が多く、取引先の選定や市場開拓において課題が生じることがある。
また、地政学的リスクも無視できない。国際的な貿易環境の不安定化や新たな規制、関税の変化などですぐに影響が現れることがある。これらはコスト構造を変え、収益性を圧迫する要因となる。特に新型コロナウイルスの影響で、グローバルサプライチェーンが混乱した実例からも明らかなように、国際展開における急な市場変動は深刻なリスクである。
投資家はこれらの要因を考慮し、企業が国際的にどのようなリスク管理戦略を展開しているか、またその適応力や柔軟性についても評価するべきである。グローバルマーケットでの成功を収めるにはきめ細やかな戦略策定が肝要である。
5. ESF・自然災害リスク
近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)に対する関心は高まる一方で、自然災害や環境問題も企業リスクの重要な要因となっている。特に、気候変動に起因する自然災害は、企業のインフラや事業運営に深刻な影響を与える可能性がある。データセンターの停止や供給チェーンの混乱は、コストを引き上げ、業務の持続可能性を損なう要因となる。
加えて、ESGへの対応は投資家からの評価にも影響を及ぼす。企業が社会的責任を果たさない場合、ブランドイメージが損なわれ、顧客からの支持を失うリスクも考えられる。環境問題への配慮や社会貢献活動は企業の持続的な成長に不可欠であり、投資家にとっても重要な評価基準とされる。
ESG関連リスクおよび自然災害リスクの管理を強化するためには、企業戦略とリスクマネジメントの統合的な取り組みが不可欠である。投資家は、企業がこれらのリスクに対する対策をどう実施しているのかを注視し、持続可能性のある成長の可能性を評価することが要求される。
全体として、アイキューブドシステムズに関する事業リスクは多様であり、変動する市場環境にも敏感である。投資家はこの状況を理解し、長期的な視点で企業の戦略や市場動向を観察することが重要である。リスクに対する適切な対応を通じて、企業は持続可能な成長を目指すことが可能であり、そのためのサポートを行う姿勢が必要である。